SL理論は、組織作り・チーム作りでも通じるか?

SL理論あれこれ

以前、このようなブログを書いて...

誰もマイクロマネジメントしたいわけではないだろう | jfluteの日記
http://d.hatena.ne.jp/jflute/20180116/microzaraki

※反対語(!?)となる「マクロマネジメント」
の重要性を語っています。

...

そして、Twitterでこのような反応を頂きました:
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マイクロマネジメントなんて言葉があるのかー
とググると色々記事が出てくるけど、
「SL理論」も踏まえた上で書かれた記事はほぼなかった

https://twitter.com/road_master_nvi/status/955884069048393730
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...

自分、「SL理論」知らなかったので、
調べてみるとあれこれあれこれ:

SL理論(状況対応型リーダーシップ)| EARTHSHIP CONSULTING

チーム・組織開発 - SL理論 | BizHint

...

わりと自然とやっていたようなことでもあれば、
時に忘れてギャップを生んでいたような気もするので、
これ非常に勉強になりました。
先のブログでも、限定的なマイクロマネジメントは、
ちょうどこのSL理論に基づくことかもしれないです。

今日は、個々の教育的な面での話ではなく、
このSL理論を、
「(会社の)組織作り、もしくは、チーム作り」
でも通じるところはないだろうか?
ちょっと考えてみました。

それ以前に、目指してるもの同じ?

とちょっとその前に...

そもそも、その組織やチームの目指す姿、
みんなで意識が合ってますでしょうか?

どこを目指しているのか?がバラバラであれば、
SL理論以前に個々の行動がバラバラになるのは当然です。

組織やチームのリーダーが、
「こういうのを目指していきたい!」
と発信していくこと

が大切です。

みなで目指す方向を話し合うにしても、
組織やチームのリーダーが、
その話し合いのファシリテーションしないと、
何も始まりません。

さて、完全に浸透したかどうかは置いておいて、
目指す方向性は明確になっていると仮定しましょう。

# 組織やチームとつどつど書くの大変なので、
# ここからは「チーム」で統一しますね。
# チームと書いてあっても組織も含みます。

SL理論ならぬST理論!?

SL理論では、S1, S2, S3, S4 というように、
成熟度のレベルが大きく四つ分けられています。
同じようにチームにおいても、
成熟度というのがあるはずです。

同じように、S1, S2, S3, S4 と分けて、
理想の状態(S4)に近づくための
「施策や行動」(判断) が求められる、
ということになります。

ちなみに、SL理論のSLは、
Situational Leadership ですから、
チームビルディングで当てはめると、
Situational Team-building,
つまりST理論と言えるのかもしれませんね(^^。

チームと個人個人の二軸

また、チームのS1, S2というのは、
個人個人のS1, S2と大きく密接しながらも、
チームならではな要因で決められる部分もあります。

個人個人がそもそもS4に向いていないのであれば、
チームも自然とS1, S2と低い水準になりやすいのは当然で、
S4的な思考への適用を個々に推進する必要があります。

一方で、各人がS4的なポテンシャル持っていたとしても、
チーム(集団)となると行動を控えてしまうこともあります。
それは会社への信頼、チームメンバーへの信頼、
明確でないポリシーから来る行動の迷い、などなど、
様々な阻害ポイントがチームには存在します。

ということで、
チームにおけるS1, S2に対する判断というのは、
個人個人の成長を促進させるものもあれば、
チーム全体としての成長を促進させるものもあり、
非常に多様的であることを念頭に置きましょう。

常に良いという判断はない

さて、SL理論を見るとわかるように、
S1のときに判断とS4のときの判断では、
大きく180度違うことがわかります。
S1のときに Good のものが、
S4のときは Bad になります。

チームにおける判断で照らし合わせると、
非常に細かくケースバイケースになることでしょう。
例えば、A, B, C という判断があるとしましょう。
A B C
S1 o x x
S2 v o x
S3 o x o
S4 x v o
o: 向いている v: 良くも悪くもない x: 向いていない 判断Aは、S1だけじゃなくS3でも復活。 判断Bは、S2だけじゃなくS4でもまあまあ。 判断Cは、S3, S4限定。 わざとややこしくしています。 単純にレベルに比例or反比例する判断も多いでしょうが、 そのレールに乗らないのもあるように思えるからです。 いずれにせよ、 「常に良い」と思われる判断は存在しません。 探せばたまにそういうものはあるかもしれませんが、 ほとんどは "状況に応じて" 良いも悪いも決まります。 つまり、"常に A でいいや", "常に C でいいや " だと、 それでうまくいくこともあれば、ギャップを生むときもあると。 数少ない成功経験、もしくは、分析できてない成功経験から、 「こうすればいいんだ」と判断すると、痛い目に会うわけです。

認識のズレによる悲しみ

さらに、これは悲しみも生みます。

そもそも、
いまチームの成熟度のレベルはいくつでしょうか?
そのレベルの認識はチームメンバーで同じでしょうか?

もし、認識がズレていると...

「いまはS2だから判断Bをやろう」と思ったら...
「いやいや判断Bとか、うちのやることじゃない(S3だから)」
という風に、逆の評価を受けてしまう可能性もあります。

チームビルディングの判断 (施策と行動) というのは、
正しかったかどうか?すぐにわかるようなものでなければ、
そもそも結果が明確になるようなものでもありません。
論理的なプロセスで評価するしかないとも言えます。

成熟度まで立ち返ってコミュニケーションが取れれば、
「そこの認識が違ったんだね」と建設的になれますが、
その意識が薄く、かつ、コミュニケーションも少ないと、
各々が(密かに)思っている状況判断だけで、
評価や信頼を決めてしまう可能性もあります。

「あいつあんなことやってるよ、何考えてるんだ...」

先のブログの「僧侶」のように

なってしまう可能性があるのです。

昨今、これによるモチベーション低下、
そして、転職のきっかけというのが多いような印象です。
良かれと思ってやったことが悪意とみなされた時、
そのショックは大きいものです。

いまどのフェーズか?

そして、これが難しい。

SL理論の方でも、個人の成熟度を測るのは難しく、
かなり「感覚的そして経験的な判定」になるでしょう。

ただ、チームに関しては、複数人における挙動なので、
さらに、その判定は複雑なものになるでしょう。
加えて、ある側面ではS1, ある側面ではS3,
なんていうこともあるでしょうからさらに複雑です。

なんだか正確に測るのは無理なような気もしますが、
それでも...
みんなで話して求めるか、リーダーが考えるかして、
理想としているチームの姿に対する
「感覚的そして経験的な判定」
をすること、それが大切でしょう。
そして、それを共有することがまた大切です。

また、S1,S2であることを認めることも困難です。
「えっ、おれらそんな仲悪い?」って、
認めたくないものですし、なんか喧嘩売ってるように
捉えられてしまう可能性もあります。

そもそもS4ってどういう状態なのか?
もっと良いチームとはどういうものなのか?

期待値を知らなかったらお話になりません

転職して見に行く...は本末転倒ですから...
勉強会などに行って、他社の人や他社のことを
よく知っている人などによく聞くのが大切でしょう。
ググって出てくるようなものではないので、
"大抵の人はチームの状態に関する知見は少ない"
それがデフォルトだと思っておくくらいで丁度良いです。

...

判定は、完全に正確でなくてもいいでしょう。
その分、判断も正確でなくてもいいでしょう。

ある程度ケースバイケースを許して、
「こう思ったらから判断A, ああ思ったから判断B」
というように...

状況への意識を積み重ねていくことで、
その精度が高くなっていくことでしょう。

ただし、そのためには、
"心理的安全" が確保されている必要があります。

「あいつあんなことやってるよ、何考えてるんだ...」

そうならないように...

o 判断は、明確な考えを示した上で行動する
o 周りは、分析とコミュニケーションで理解を示す

もっともっと気軽に、
チームでチームのことを話す機会を持つ、
これが前提となるでしょう。

理想指向チームビルディング?

さて一方で、
またちょっと別の選択肢もあるかもです。

現状がS1だろうがS2だろうが、
S4に適した判断しかやらない、
S4に適した判断しか評価しない、
というやり方。

当然、現状とのギャップは出ますが、
S4への強い意識を繰り返し学習させることで、
S4に到達させる手法と言えるでしょう。
そしてなによりも施策として単純です。
理想指向チームビルディングと名付けました。

ただ、S4に到達するまで時間が...
短縮されるか?長く掛かるか?そこは不安定で、
ギャンブル性の強いやり方とも言えると思います。
S4に向いている人が集っているかどうか?
は大きなポイントでしょう。
例えば、個々がS1,S2気質だらけであれば、
永遠にS4に到達しない可能性もあります。

また、現状とのギャップで、
メンバーがつぶれてしまう可能性もあります。

チームはS2の状況だとして、とある問題が発生して、
S2向きの判断Bであれば直近で丸く収まるが、
S4向きでS2は不向きの判断Cだと大事故になりそう。
その大事故の責任を誰が取るのか?
その判断をしようとしているメンバーは迷うでしょう。

もし、そのメンバーが取るとなれば、
メンバーは自然とチームからはいなくなるでしょう。
(いまは売り手市場、別の会社に行くのは簡単です)

「そういうときでもS4向きの判断で良い!」
と太鼓判を押してメンバーの心理的安全を確保しないと、
この「理想指向チームビルディング」は成り立たないでしょう。
そのファシリテーション自体は、
強い権限を持っている人がやってあげる必要があります。
(これ自体はマクロマネジメントと言えるでしょう)

もともとメンバーは自然と、
(ある程度)状況を踏まえた判断をしようとしますし、
大抵の会社は目の前の成果が評価されます。
コントロールがあまり必要なさそうに見えて、
実は強いコントロールが必要なやり方です。

そういった施策をせずにこのやり方を採用しても、
それこそただの "荒野" になるだけです。
もしこのやり方を採用するのであれは、
もっと深い議論をしていったほうが良いでしょう。

# 実際には、"ある側面においてだけ"
# 理想指向チームビルディングというのも
# あるかもしれません。
# (自然と)ハイブリッド的になる可能性もあります。
# ただ、「理想指向チームビルディングの罠」
# だけには気をつけましょう。

段階指向の感覚を研ぎ澄ます

昨今では、多くの事業会社で、
「自由」と「責任」をキーワードとした、
「自己組織的なチーム」を目指すことが多いです。

jflute自身も、今までの経験から、
SIerにいたときも、事業会社にいたときも、
そういったムードのチームで仕事をすることが多く、
その方が圧倒的に居心地が良いと感じていますので、
そこを目指している現場があれば、
ぜひそういったチームになるように協力したい、
と考えているのですが、
そこに到達するまでのプロセスでは悩みます。

すでに S4 の状態ならそんな判断しないけど、
S4 に近づくためには現時点ではその判断の方が良い、
そんなジレンマな局面もあるからです。

SL理論と出会うまでは、
その辺ちょっと "もやもや" していましたが、
SL理論を応用することで自分の中で解釈することができ、
その判断に対して自信を持つことができましたし、
一方で、それを成り立たせるためにするべきことがある、
そういう風にも感じ、色々と考えさせられました。

同じように悩んでいる人はいないでしょうか?

...

すべての判断は、相対的である

ということを念頭に、
段階指向の感覚を研ぎ澄ましたいなと。