ディズニーシーで揺れた日 その二

ディズニーシーで揺れた日 その一」からの続き。

残された大量のゲスト、エントランスに向かう人、
ひとまず待つ人、様々でしたが、余震も続いていたので
ひとまずその場で待っていました。

アナウンスで京葉線武蔵野線、地下鉄も運転見合わせ
とのこと、帰れない。とにかく待つしかないと。
そして、その状況でシーから出てもいいことはあまり
ないだろうと判断して、ひたすら待ちました。

携帯でニュースを見る人たちの会話が聞こえてきます。
これは今となっては周知の内容ですが、かなり悲惨な
ものばかり。それに加え、プロメテウス火山の背後から、
明らかにおかしい雲。雲ではなく黒い煙。誰かの会話で、
お台場のテレコムセンター付近の火事と聞こえ、実際に
そうだったようですが、方角的にロストリバー・デルタや、
もしくは、オフィシャルホテル付近から出火したんじゃ
ないかと不安にさせます。それが頭をよびった人も
いたんじゃないかと。いずれにせよ、恐怖感を演出する
のに十分過ぎる景観でした。

万単位の人があふれている現場。若い人が多いので
脳天気な会話もありながらも、本気で不安になって
いる人も大勢います。そして、どんどん冷たくなる風、
空腹、まるで船酔いしているかのような余震の揺れ、
状況が進展しない待ちのイライラ、これらが一気に
襲ってきます。不安感と恐怖心がそれらに付け入る
隙を与えてしまい、体調を崩してしまう可能性も。
(この寒い中、屋外待機の状態は暗くなっても続いた)

自分もふと気を緩めると「ん、いかん、弱りそう」と感じ、
気を引き締め直したりしました。彼女の心配まみれな
ひきつった顔をぶるぶるしてあげました。

どこからか高校生か中学生か「大地讃頌」を歌う声が。
綺麗な歌声でした。ワンフレーズだけでしたが、
うわーなつかしい、と彼女と一緒に笑いながらちょっと
合わせて口ずさんでみました。心が少し落ち着きます。

隣の方が、自らこちらの状況見て余った段ボールを分けて
くれました。地べたに敷いて少し寒さがやわらぎました。
余っていた(指先出てるけど)手袋をお礼にお貸ししました。
ロストリバー・デルタのお店で買った手袋です。
少しは寒さを凌ぐのに役に立ったでしょうか。車で栃木から
来られていたとのことでしたが、無事帰られたでしょうか。
それはもう既にわかることではありませんが、とにかく
こういったやり取りで心が少し落ち着きます。

iPod を持ってくるの忘れてしまいました。こういうとき
何気に必要だなと。オーバー・ザ・ウェイブを聴きたい。
なので彼女と一緒に口ずさんでみました。

思ったのは、苦しい状況でこそ大事なのはやはり笑顔。
気が滅入ってしまうと、副次的な害に襲われてしまい、
結果的に良い方向に進めなくなってしまうと感じました。

不謹慎との境目がとても難しいのですが、状況を真摯に
受け止めつつも、笑顔が自然と出てくるような状態を
意図的に作って、異常な状況を耐えていくのが大事だと。
幸いシーではありませんでしたが、実際に人が目の前で
亡くなったら本当にそういうことが実践できるかどうか
わかりませんが、でも、それでも...
大事だなと、思ったのです。

// こういう状況こそ笑顔 | jfluteの日記
http://d.hatena.ne.jp/jflute/20110315ディズニーシーで揺れた日 その三」へ続く